肉・内臓・血

生食の材料


獲物を骨ごと噛み砕く歯。短い消化管。強酸性の胃。そして生ものを消化酵素や食物酵素で分解するのが犬の消化システムです。そんな犬の食性に合わせて、生肉や内臓肉など、犬たちが必要とする栄養素のすべてを非加熱で与えるのが生食です。

熱処理によって栄養素が失われることがなく、生きたバクテリアや酵素が生肉に入っているので、加熱した肉よりも栄養的にすぐれているという考え方を元に、犬の健康を支える生命力に満ちあふれた栄養素で、免疫力を高め健康体を作ることを目指しています。
生食では、同じ種類の肉を長期間食べさせないように、いろいろな肉を与えます。最近は、馬肉、牛肉、鶏肉、ラム/マトン、鴨などの犬の生食向けの食材に加え、兎や鹿などのジビエも比較的容易に手に入るようになりました。

馬の内臓、骨、肉
▲ 馬の内臓、骨、肉。

馬肉

馬肉は高タンパク、低脂肪、低カロリー、低コレステロール、低飽和脂肪酸のうえ、グリコーゲンやビタミン、ミネラルが豊富で、消化、吸収にすぐれた、愛犬には理想的な食品です。
犬たちの健康維持には欠かせない必須脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)のオメガ3、オメガ6がバランスよく含まれています。

牛肉

部位により成分に差はありますが、牛肉はタンパク質、脂質、鉄分を多く含みます。他の肉に比べ多くの必須アミノ酸がバランスよく含まれているのが特徴です。
脂肪の少ない赤身(サーロイン、肩ロース、ヒレ、ランプ肉)を中心に用います。厚切り肉がいちばんですが、挽肉でもOKです。
ハツ(心臓)、少量のレバー(肝臓)もおすすめです。入手可能であればグリーントライプ(未加工の漂白されていないギアラと呼ばれる第四胃)も使えます。

鶏肉

無薬鶏のような有機飼料のみで育てられた鶏が理想ですが、ブロイラーに比べると入手も むずかしく高価です。現実的には、飼料への抗生物質の添加がない、比較的流通量の多い放し飼いの鶏が狙い目です。
鶏肉は牛肉や豚肉に比べ低カロリー、高タンパクで、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。手羽先、胸肉、もも肉、ささみ、レバー、砂肝など、すべての部位が与えられます。
特にささみは、タンパク質が豊富で、低脂肪、低カロリーです。繊細で柔らかく消化、吸収にすぐれているため、生肉に初めてトライするワンちゃんや、幼犬、シニア犬の食事にぴったりです。
骨付きなら手羽、背中、首がおすすめです。
最近、アンチエイジングで話題のイミダゾールペプチドは胸肉に多く含まれています。

ラム /マトン

ラムとは1歳未満の子羊肉、マトンはそれ以外の羊肉をいいます。牛肉や豚肉に比べタンパク質の含有量がやや少ないものの、必須アミノ酸が充実しているため栄養価は高いと評価されています。ただし、脂肪はやや多く、酸化しやすく硬くなりやすいため、消化吸収されにくいといわれています。
脂肪の少ないショルダー、ロングロイン(背中の部分)、胸、レッグが犬の食事向きです。

豚肉

脂肪分が多い割にコレステロール値が低く、必須アミノ酸をバランスよく含み、ビタミンB1が多い豚肉は、すぐれたタンパク食品です。
ただし、E形肝炎ウイルスや食中毒の原因となる細菌を保有しているため、十分に加熱調理しないと与えられません。特定の病原体を持たず健康豚と称するSPF豚であっても、無菌豚ということではありませんので、必ず加熱して与える必要があります。
火を通した肉は酵素が不足しますので、どうしても与えたい場合は消化酵素を加えるのもよい方法です。

鴨肉

マガモ、アイガモ、フランス鴨が市販されています。アイガモ、フランス鴨は、飼育種のため精肉店に注文すると年中手に入ります。いずれもタンパク質が豊富で脂肪分が少ないという特徴があります。ビタミンB1、ビタミンB2も比較的多く含まれています。
フランス鴨は体型が大きい分、首が太いので、首の軟骨の回りに肉も多く、中型犬以上のおやつとして個人的にはおすすめの逸品です。

内臓について

肉食獣が獲物を捕獲した時、まっ先に胃や腸を中味まで食べ、肉はもちろん、骨や内臓も食べつくします。この食性に倣って生肉に内臓肉を加えたり、できるだけいろいろな種類の肉を与えるために、内臓肉が用いられます。
よく知られているように、レバー(肝臓)は、ビタミンAの宝庫で、鉄やビタミンBにも富んでいます。ハツ(心臓)にも、やはりビタミンA、B1、B2、鉄などが豊富に含まれています。腸には、グリコーゲンもたっぷりです。その他の内臓にも、良質なタンパク質、必須脂肪酸とミネラル、ビタミンなど、微量栄養素が多く含まれています。
ただし、レバーはとりすぎるとビタミンA過剰症になることがありますので、食べさせ過ぎないようにしましょう。

血について

人用の食肉処理においては、肉に血液が入り込むことを防ぐために、「放血」という処理を施し、血液を除去しています。通常販売されている馬肉や鶏肉は、人用の食肉ですので、 放血により血液が除去されています。しかし犬にとって血液は非常に重要な栄養素となりますので、アメリカの犬用食肉専門店などでは、血液採取し、別売にしたり製品に入れたりするところもあります。

生食の材料

獲物を骨ごと噛み砕く歯。短い消化管。強酸性の胃。そして生ものを消化酵素や食物酵素で分解するのが犬の消化システムです。そんな犬の食性に合わせて、生肉や内臓肉など、犬たちが必要とする栄養素のすべてを非加熱で与えるのが生食です。

熱処理によって栄養素が失われることがなく、生きたバクテリアや酵素が生肉に入っているので、加熱した肉よりも栄養的にすぐれているという考え方を元に、犬の健康を支える生命力に満ちあふれた栄養素で、免疫力を高め健康体を作ることを目指しています。
生食では、同じ種類の肉を長期間食べさせないように、いろいろな肉を与えます。最近は、馬肉、牛肉、鶏肉、ラム/マトン、鴨などの犬の生食向けの食材に加え、兎や鹿などのジビエも比較的容易に手に入るようになりました。

馬肉など
▲ 馬の内臓、骨、肉。

馬肉

馬肉は高タンパク、低脂肪、低カロリー、低コレステロール、低飽和脂肪酸のうえ、グリコーゲンやビタミン、ミネラルが豊富で、消化、吸収にすぐれた、愛犬には理想的な食品です。
犬たちの健康維持には欠かせない必須脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)のオメガ3、オメガ6がバランスよく含まれています。

牛肉

部位により成分に差はありますが、牛肉はタンパク質、脂質、鉄分を多く含みます。他の肉に比べ多くの必須アミノ酸がバランスよく含まれているのが特徴です。
脂肪の少ない赤身(サーロイン、肩ロース、ヒレ、ランプ肉)を中心に用います。厚切り肉がいちばんですが、挽肉でもOKです。
ハツ(心臓)、少量のレバー(肝臓)もおすすめです。入手可能であればグリーントライプ(未加工の漂白されていないギアラと呼ばれる第四胃)も使えます。

鶏肉

無薬鶏のような有機飼料のみで育てられた鶏が理想ですが、ブロイラーに比べると入手も むずかしく高価です。現実的には、飼料への抗生物質の添加がない、比較的流通量の多い放し飼いの鶏が狙い目です。
鶏肉は牛肉や豚肉に比べ低カロリー、高タンパクで、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。手羽先、胸肉、もも肉、ささみ、レバー、砂肝など、すべての部位が与えられます。
特にささみは、タンパク質が豊富で、低脂肪、低カロリーです。繊細で柔らかく消化、吸収にすぐれているため、生肉に初めてトライするワンちゃんや、幼犬、シニア犬の食事にぴったりです。
骨付きなら手羽、背中、首がおすすめです。
最近、アンチエイジングで話題のイミダゾールペプチドは胸肉に多く含まれています。

ラム /マトン

ラムとは1歳未満の子羊肉、マトンはそれ以外の羊肉をいいます。牛肉や豚肉に比べタンパク質の含有量がやや少ないものの、必須アミノ酸が充実しているため栄養価は高いと評価されています。ただし、脂肪はやや多く、酸化しやすく硬くなりやすいため、消化吸収されにくいといわれています。
脂肪の少ないショルダー、ロングロイン(背中の部分)、胸、レッグが犬の食事向きです。

豚肉

脂肪分が多い割にコレステロール値が低く、必須アミノ酸をバランスよく含み、ビタミンB1が多い豚肉は、すぐれたタンパク食品です。
ただし、E形肝炎ウイルスや食中毒の原因となる細菌を保有しているため、十分に加熱調理しないと与えられません。特定の病原体を持たず健康豚と称するSPF豚であっても、無菌豚ということではありませんので、必ず加熱して与える必要があります。
火を通した肉は酵素が不足しますので、どうしても与えたい場合は消化酵素を加えるのもよい方法です。

鴨肉

マガモ、アイガモ、フランス鴨が市販されています。アイガモ、フランス鴨は、飼育種のため精肉店に注文すると年中手に入ります。いずれもタンパク質が豊富で脂肪分が少ないという特徴があります。ビタミンB1、ビタミンB2も比較的多く含まれています。
フランス鴨は体型が大きい分、首が太いので、首の軟骨の回りに肉も多く、中型犬以上のおやつとして個人的にはおすすめの逸品です。

内臓について

肉食獣が獲物を捕獲した時、まっ先に胃や腸を中味まで食べ、肉はもちろん、骨や内臓も食べつくします。この食性に倣って生肉に内臓肉を加えたり、できるだけいろいろな種類の肉を与えるために、内臓肉が用いられます。
よく知られているように、レバー(肝臓)は、ビタミンAの宝庫で、鉄やビタミンBにも富んでいます。ハツ(心臓)にも、やはりビタミンA、B1、B2、鉄などが豊富に含まれています。腸には、グリコーゲンもたっぷりです。その他の内臓にも、良質なタンパク質、必須脂肪酸とミネラル、ビタミンなど、微量栄養素が多く含まれています。
ただし、レバーはとりすぎるとビタミンA過剰症になることがありますので、食べさせ過ぎないようにしましょう。

血について

人用の食肉処理においては、肉に血液が入り込むことを防ぐために、「放血」という処理を施し、血液を除去しています。通常販売されている馬肉や鶏肉は、人用の食肉ですので、 放血により血液が除去されています。しかし犬にとって血液は非常に重要な栄養素となりますので、アメリカの犬用食肉専門店などでは、血液採取し、別売にしたり製品に入れたりするところもあります。


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