犬から見た世界 アレクサンドラ・ホロウィッツ(著)
犬の観察者にして、動物認知専門の心理学者の著者が、犬から見た世界がどうなっているのかを科学の眼で分析し、犬特有の知覚世界、犬の心、犬の匂いの世界、擬人化などの著者自身の研究だけではなく、最近の動物に関する研究成果や情報も紹介しています。 犬が自分について考えるかどうか。 たとえば、彼らの匂いの世界。 「強い匂いには新しさを、劣化した匂いには過去が見える。 だから犬にとっての「いまこの瞬間」は、私たち人間がそれを知る前に起こっていると、著者は言います。 犬が他の動物と決定的に違うのは、私たち人間とアイコンタクトがとれること。ならば、私たちも犬の内側をのぞき込み、「犬から見た世界」がどんなふうなのかを想像してみることが公平であるという著者の立場に共感を覚えます。 彼らは、私たちを見つめ、嗅ぐことで、私たちを知っています。ならば私たちも彼らをとことん見ることで彼らともっともっと親しく交わることができるというわけです。 今、私たちは、犬に服を着せ、シャンプーをして、誕生日を祝って、犬のなかの「動物」の部分を無視するようなことも珍しくはありません。このような極度の擬人化が、果たして犬たちとってほんとうに幸せなのか、真剣に考えなくてはなりません。 読後、うちの犬たちを見る目が確実に変わりました。 |
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